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業界動向
【2003/2/3】特別展空海と高野山」唐代文学関係の古佚書も出品

弘法大師入唐一二〇〇年記念
空海と高野山
聖なる山の至宝、空前の大公開。

今年(2003年)4/15から5/25迄、京都国立博物館で空海の入唐1200周年を記念して、空海と高野山に関する特別展が開催される(名古屋展は2003/10/10〜11/24に愛知県美術館、東京展は2004/4/6〜5/16に東京国立博物館、高野山の地元和歌山展は2004/10/9〜11/23に和歌山県立博物館でそれぞれ開催予定となっている)。空海は今から1200年前の桓武朝延暦22年(唐の徳宗の貞元19年)に中国に渡り、その後数々の大陸典籍を日本に持ち帰ったが、その中に今日では既に散佚してしまって伝わらない唐以前の古佚書がかなり含まれている。

宋代に収録字数を増補して字解部分を大幅に削る以前の顧野王(こやおう)『玉篇(ぎょくへん)』(南朝梁の時の『説文』式部首配列の字書)の古本(*一般に宋代の改変以降の『玉篇』を「大広益會玉篇」、改変以前のものを「原本玉篇」と呼ぶ)や、その原本『玉篇』を空海がダイジェストした『篆隸萬象名義(てんれいばんしょうめいぎ)』(宋以前の『玉篇』本来の体裁が判る)、亡佚した唐人の詩のルールブックを多数引用している『文鏡秘府論』、宋代に散佚した唐の許敬宗ら奉勅撰の『文館詞林』(体別に分類された詩文集。もと一千巻)などがその代表格。

今回の特別展では、以上のうち少なくとも『文館詞林』残巻(国宝)と『文鏡秘府論』残巻(重文)が公開される見込み。唐代文学の研究者やファンは必見。因みに京都国立博物館の現館長はもと京都大学文学部教授の興膳宏先生で、この分野における研究者として名高い。

『空海全集』・『文鏡秘府論・文筆眼心抄』(共に筑摩書房)や、楊守敬『日本訪書志』(楊守敬集所収)など、参考にすべき文献や著作は数多くあるが、Web上で手軽にかつ無料で参照できるものとしては、青空文庫の内藤湖南「弘法大師の文藝」や桑原隲藏「大師の入唐」がある。特に「弘法大師の文藝」は上記唐以前の古佚書に関する講演録であり、特別展拝観の前に一読しておきたい。(2002/2/6 改訂2版)

情報源1(京国博)/ 情報源2(京国博)/ 情報源3(NHK)】
青空文庫内藤湖南/桑原隲藏)】
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